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機長の権限

 あまりにも更新がないので、Twitterを要約して貼るようにしてみました。たぶん週一回程度。で、たまにはなんか書かなならんだろうということで、こちら。

体調不良のスカイマークCA、社長一声「交代ならぬ」 (asahi.com)

 前なんとかさんのいる国土交通省的な大本営発表こちら[pdf]。  読んでておそろしく違和感があったのは、たかだか一便の運行にまで会長やら社長やらが口を挟んでんのかこのカイシャは、というところ。そんな家内制手工業な運行体制なんでしょうか? それだったらそれはそれですごいような(暇なのか? 暇なんだろうな)。しかるべきところにしかるべき権限の委譲がなされていないと、いざ会長やら社長やら不在のときにとんでもないことになりそうなんで、リスクマネジメントの観点からは、早々に改めないと、また似たようなことが起きてしまうんじゃなかろうかと思います。

 ちなみに、機長の権限というのは、けっこう強いもので、たとえば航空法では、

第七十三条  機長(機長に事故があるときは、機長に代わつてその職務を行なうべきものとされている者。以下同じ。)は、当該航空機に乗り組んでその職務を行う者を指揮監督する。 第七十三条の二  機長は、国土交通省令で定めるところにより、航空機が航行に支障がないことその他運航に必要な準備が整つていることを確認した後でなければ、航空機を出発させてはならない

だったり、果てには、

第七十三条の四  機長は、航空機内にある者が、離陸のため当該航空機のすべての乗降口が閉ざされた時から着陸の後降機のためこれらの乗降口のうちいずれかが開かれる時までに、安全阻害行為等をし、又はしようとしていると信ずるに足りる相当な理由があるときは、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持のために必要な限度で、その者に対し拘束その他安全阻害行為等を抑止するための措置(第五項の規定による命令を除く。)をとり、又はその者を降機させることができる。

とかだったり、まあ要は機内における専制君主な訳で、機長がNoと言えば飛行機は飛ばないわけです。だから、機長の判断というものは相当な程度尊重されるのが普通だったかと記憶しております。

 最終的には機長を交代して飛ばしたわけですが、ローテーションというものだってあるわけでして、よほどやむを得ない事情でもない限り、ふつうはそういうことしないものだと思うんですが、ていうか、ふつう、風邪のCAぐらい休ませてあげなさいよ、考えるものだと思うんですが。  よほど、このCAを乗務させなきゃならないような特段の事情があったんじゃないかと推察されるんですが(そしてその事情こそが、このインシデントの根本原因の一つなんでしょうが)、何なんでしょうな。謎。