Appleとワタシ

 小学生の読書感想文みたいなタイトルで恐縮ですが。

 はじめてAppleのプロダクトを見たのは、大学一年生のときだった。当時のApple CEOはスピンドラー(だったと思う)。三台並んだPower Macintosh 6100/60(その名も安直に左からLeft Macintosh、Center Macintosh、Right Macintosh。Left Macintoshがファイルサーバとしての機能も有していた)。漢字Talk7.5。今は亡きAldus社のPageMaker5であれこれDTPなんかをやっていたのを思い出す。

 当時のMac OSの品質というのは、いわゆる信者にもさんざん揶揄されるほどで、肝心なときに爆弾マークを出したり、Laser Writerが肝心なときに動かなくなったり(印刷時には印刷がうまくいくようにお祈りをしたり)。そのころのワタシにとって、Macってのは、仕方なく使うDTP専用機だった。使いやすいことは使いやすいけれど、爆弾マークだらけで、到底実用品ではないな、というのが正直なところ。DTPに流す原稿は、ようやく廃れつつあったワープロ専用機か、自宅のWindows上のテキストエディタで作るのが当然だった。OSの内部構造が隠蔽されているのも気にくわなかった。

 次にAppleのプロダクトを買ったのは、2002年だか2003年だかにiBookを買ったときだったか。OS X 10.2。まだ9.2.2も同梱されていたような気がする。AppleのCEOは、Steve Jobsに変わっていた(今確認したらこんなエントリがあった)。
 あの忌まわしき爆弾マークはなくなっていたが、当時のOS Xは、実用品とは言い難かった。Power PCは、当時のPentiumシリーズに比べて明らかに処理能力に劣り、アプリケーションは、見た目はともかくとして実用的なものはなく、プラットフォームとしてはもしかするとなくなっていくのではないかという予感があった。そのiBookは程なく手放した。

 ようやくマトモになって再度購入したのは、10.4の頃くらいからかと思う。別にAppleのプロダクトは特段好きでもなかったのだけど、なぜかいつくらいからか、Macを使うようになっていた。Switchした理由は、今でもよく覚えていない。たぶん、ワタシのことだから、フォントのエイリアスが綺麗とか、そんな理由だったのだろう。

 気付いたら、かれこれ六台くらいのMacと四台くらいのiPodを買い、いまMacBook Airの傍らにはiPad 2があり、ついこないだiPhone 4Sの予約もしてきた。誰に指図されることもなく、特別な意図も無く、いつのまにか、身の回りはAppleのプロダクトだらけになっていた。何故なのかは、よくわからない。作られるもの、売られるものがことごとく良いものだったからと考えるしかない。

 優れたプロダクトとエコシステムを作り上げ、System7のトラウマがあるにもかかわらず、ワタシを気付かないうちにApple中毒に仕立て上げてしまったSteve Jobs。彼のすばらしさについては、この数日余り、さんざん読み聞きしてきたので、今更ワタシが付け加えることも無い。余人を持って代えがたいという言葉は、こういうときに使うのだろう。非常に多くのことを構想し、それを成し遂げてきたSteve Jobs、いまは安らかに眠れとしか言葉が無い。